2011-06-28

芝を使ったファイトレメディエーションの検討(つづき)

前の記事に関してメールで情報を提供いただきました。
千葉県富里市
有限会社 七八企画
小倉喜光 先生

実は、ティフトン419の話、家内から、ものすごく成長の早い芝があるみたいと話をだいぶ前に聞いていたところWINEP(植物鉄栄養研究会)のブログのコメント欄での森敏先生とのやりとり欄で小倉さんが書き込まれていたところで情報として知りました。

小倉さんが作られているHP、芝生の省力化や無農薬化など写真がいっぱい提供されており、あれこれ長年工夫を積み重ねられてきているのだと内容から推察されます。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~nana8k/

小倉さんからは2通のメールを頂きました。
2つのメールから特に重要と考える情報を紹介します。

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>ティフトン419の耐寒ピーク温度は―9℃であるが、冬超えによって翌年には完全にティフトン
419の残根、残茎を除草剤等を使わずに駆除できればいいのであるが、これについては情報がない。

テイフトンは乾燥に弱い。夏場校庭等は芝密度がないので散水しなければ枯れる。
平坦なら表層乾燥気味の春の時期に 高麗芝のように茎が太くなく縦刈りで耕せは成長点が浮き上
り土が乾燥で干上がる。根絶は除草剤否定でも可能でしょう。
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土壌剥離50mmではなく5mmと言う記載があったが5mmなら簡易に芝剥離が校庭なら
芝刈り感覚可能ですね。土と芝の分離も出来芝残渣のみ集草も可能な範疇です。
別作業で土を余分に除去したいなら浅く耕すような状態mm単位で調整が可能から容易

く、別途集めればよいだけです。

島田コメント:芝を残したまま、芝刈りの感覚で、表土を徐々に除去できるということか?表層に近いほど放射性物質の濃度が高い土壌の場合、薄く、何回も土壌を削って行った方が下層への高濃度の汚染土壌の付着が少なくてよいとかんがえられるので都合が良い。ブルドーザーなどの排土板で押すと、どうしても下の土壌への汚染土壌の擦り付けが心配だが、芝刈りの要領で、表面を刈りこみながら薄く土壌を剥がしていければ排出される土量を最小限に抑制することができる。可能性を感じます。ありがとうございます。
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ティフトン419なら有機物の脱脂糠で撒いて剥離作業では多少の茎・節が残せ、糠土丸
ごとサイレージで肥料に。1年で3回位のファイトレメディエーションが可能じゃないかな。

耕地では表層校庭みたいに堅くない、ローラー等で多少固めて平にすれば校庭並みに扱
えるでしょう。雑草の問題も除草剤否定(なし)で芝育成、剥離が可能だと判断します。

島田コメント:放射性セシウムが多く含まれるので糠土まるごとサイレージで肥料にというお話は、残念ながら今回の農地の修復では活用できないと考えますが、年間で3回位のファイトレメディエーション(+薄い土壌削り)が、大型の重機などを農地に入れずに可能だと考えられそうです。また、小型の機械で作業ができれば、非常に小さな畑あるいは棚田のようなところ(水田土壌でティフトン419を上手にはやせるかどうかはわかりませんが)までかなりくまなく最小限の土壌排出で除染が可能になるのではないかと思います。
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排出された、芝及び土壌は、水に入れれば芝は浮き、土壌は沈むのでそれほど難しくなく分離できそうです。分離された芝は、かさが多そうですが、分解させて、減量してもよいですし、乾燥させて圧縮・薪上にしてブリケット燃料として集めて、バグファイルター付の焼却炉で燃焼もしくは熱電利用することは技術的に可能です。また、少し時間はかかりますが380℃以下でバイオマスを熱分解できる低温熱分解炉で灰化することも可能だと考えます。
また、水に沈んだ土壌に関しては、HydroWorksさんが取り組んでおられるような、急速凝集分離による粘土分離によって車上等で連続的かつ速やかに放射性セシウムが多く含まれる粘土と分離された粘土分の少ない土壌に現地もしくは現地に近い場所で分離除去することが可能となります。
高濃度の放射性セシウムが含まれる粘土土壌成分については、やはりHydroWorks大橋さんがより安定的な管理ができる固化材を検討しているようなのでその成果を待ちたいと思います。また、別なより手法が現れることも期待しています。

大学や研究機関だけでは、知見は多く集まりますが、経験による閃きとアイデアが十分に集めることができません。様々な研究機関、森先生や小倉さんや大橋さんのような様々な分野の異なる先達がアイデアや手法を交換していくとで、驚くようなアイデアや提案が生まれます。政府においても、様々な提案が生まれるベースとなるようなプラットホームの構築を是非実験等と同時に進めて頂ければありがたいと思います。