2008-08-07

首相官邸37(低炭素社会形成推進基本法)

低炭素社会基本法に盛り込んでもらいたいこと(視点)

①学校教育における”サステイナビリティー”の位置づけ
(世代にわたる長期的視点と世界に対するメッセージ)

②ネットワーク(連携)手法を活用した革新的技術開発のスピードの向上
(開発資本・人材の結集と協業)

③コミュニティーによる体験手法を活用した普及技術の浸透の拡大
(面的な展開とボトムアップ、全員が身につけることを目指して)

①は、道徳、ボランティア、体験学習、自然教育、地域教育など、これまで総合的学習の時間で位置づけられてきた取り組みに低炭素社会技術(生活技術、職業技術)、温暖化問題の解決のための理解を深める学習の時間、相手を思いやることの学習、困ったときお互いの助け合いの大切さの学習の時間としての再構築です。

これらは、国際的にも通用する”サステナイナビリティー(サステナビリティー)”の学習の時間として位置づけられます。”サステイナビリティーを”学校教育に位置づけることで、日本が本気で、内部から変わろうとしているということを国際的にもアピールすることが可能となります。

また、サスティナビリティーは、低炭素社会を生み出す中核の理念であるため、学校教育において、子供達一人ひとりの中に”サステイナビリティー”を植え育てていくことは、学校教育を通して低炭素社会を育くんでいくことを意味します。10年から、20年という長期的視点にたてば、できるだけ早期に、しっかりとした視点に立って、取り組みを開始し始めることが大切です。


②③ネットワークは、様々なものを持ち寄ることや分業による速度の加速化に役立ちます。このため、ネットワークは時間的や資源的に限られた仕事に適した手法といえます。 

一方、既存のグループや新しいグループなど、人と人が一緒の目的や場所にあつまるコミュニティーの強みは、わいわいがやがやと一緒になって、難しい問題や新しい経験を、意見を出したり話あいながら、自分達のものにできることです。新しい知識や経験を、さまざまな方向性から眺めることができたり、知識を分業して吸収し、わからなかったことを後で教えあったりと様々な取り組みが可能となります。

地球温暖化問題に関しては、人類的な視点から言えば、人類全体が一致団結して乗り越える課題ということができ、それらの点で、革新的技術開発に関しては、ネットワークを最大限に活用し、技術開発の速度を加速していくことが重要です。

一方、安全な普及技術、生活技術の浸透、革新的技術開発によって将来発生するであろう普及技術に関しては、これまで、石油に依存して生活してきた私達の生活のひとつひとつの活動と、その背後につながる間接的な化石燃料依存活動を、丁寧に、ひとつづつ低炭素化していくことが必要となりますので、一朝一夕に達成することはできません。しかし、人間は、十分にていねいに時間をかけて、あたまとからだで理解することで、少しづつ、取り組みを変えていくこともできます。ここで必要な丁寧さをあたえてくれるのがコミュニティー手法の特徴です。


低炭素社会基本法を検討し、さらに、その運用を行っていく段階で、上記の3点に、しっかりと配慮を行って制度設計や計画を策定していくことで、既存の仕組みや取り組みを、再構築、最調整していくことで、より円滑、兼、速やかに低炭素社会の基礎の立ち上げと社会全体への浸透が進むと考えます。

市町村合併などにより、日本全体において、地域のコミュニティー(集落のみならず、各種団体、ボランティア活動等)が、失われつつあります。一方で、私達の生活が地球環境問題から脱却していくためには、コミュニティーの再構築と再活性化が重要です。低炭素社会の重要性は、気候変動の緩和策であると同時に、適応策であり、現代社会の抱える課題の解決が同時に可能であるというところです。

是非、これらの視点を取り入れて、私達の未来を賭ける価値のある低炭素社会基本法を創案していただきたいと思います。
2008年8月6日