2010-04-26

中長期ロードマップへの意見②適応策のWGの設置

意見内容

適応と経済に関するワーキンググループが設置されていない

中長期ロードマップ全体をながめて、

中長期ロードマップの中に気候変動への適応*雇用*経済という視点での議論がなされていないことが不足していると感じた。

2050年までのロードマップは、気候変動の緩和(低炭素社会)気候変動への適応(気候変動適応社会)自然資本の保護と再生(自然共生社会)現代社会の問題克服(課題解決社会)持続可能な社会という5つの要素と安全安心社会(人間社会に受け入れられる必要上条件)に基づいてあらゆる要素が議論され検討される必要がある。(低炭素社会学http://lowcarbonstudy.blogspot.com/2009/07/blog-post.html http://lowcarbonstudy.blogspot.com/2009/07/blog-post_07.html

 これらの課題は、それぞれが相互に関連性を持って成立しており、その関係性を紐解いていくことで、一石多鳥といわれるコベネフィットアプローチのような相乗効果を期待できる効果的な手法を発見していくことができる。

 そうした視点から考えたとき、今回の中長期ロードマップには、気候変動への適応の視点が大きく抜け落ちていることに気がつく。気候変動への適応分野のうちでロードマップ上重要なのは、適応に関わる経済効果及び備蓄、国内及び国際的な地域の適応に関する互助体制の整備及び適応分野での雇用である。適応に関わる経済効果は港湾土木、医薬品、観光分野等に関連し、食糧・燃料・機材等の備蓄は、農林水産業(耕作放棄地の活用等)、気候変動災害等における食料・資材・人材等供給支援体制の整備及び人材育成に関わってくる。これらの分野は、その多くが既存の仕組みの再調整によって可能となるため、大掛かりな社会転換に際しての社会安定性維持の受け皿ともなる。適応策に関する経済は、既存経済の延長線上にあるため、新たに誕生させようとしているエコ経済と最低でも同規模以上の経済的ボリュームが存在するはずであり、適応と緩和という2つの両面作戦で経済の安定性を維持しながら安全で安心な持続可能な低炭素社会への転換が可能となる。

 中長期ロードマップは、社会転換の全体像を、国民や経済社会及び世界へと明示し理解を導き出すことが、その最も大きな役割といえるので、世界全体での緊急・計画的気候変動対策の連携体制の提案にまで発展していくような広い視点をも国民に提示し、より議論が盛り上がるよう提案することが望ましい。また、適応策は既存経済の延長線上に位置づけることが可能なため、適応策と雇用・経済の議論を中長期ロードマップに組み込んでいくことでより多くの国民に対して身近な議論を喚起できるとも考える。