2011-06-15

土壌からの粘土除去5mmでOK?本当?

http://gankooyajifull.blog133.fc2.com/blog-entry-284.html
東北大石井慶造先生、粘土除去でいい結果を出したようです。地表5mmとあります。最初は5cmの間違いではないかとおもいました。本当でしょうか?本当だったら朗報です。でも違ったらがっかりです。どちらでしょうか?


粘土除去による土壌修復 及び 大橋さんとのやりとり

粘土、セシウムで検索をしていたところ

宮城・丸森町、3施設の校庭除染へ 福島第1原発事故

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/06/20110615t13021.htm

というニュース記事を見つけました。

記事の中には、土壌からの粘土除去手法のお話しが出ていました。

同じ手法を独自に開発され、実験も行い、小型のプラント化の準備も行ってる(株)HydroWorksの大橋さんとここ数日メールでやりとりをしております。農地での土壌からの粘土除去に関して、私が何となく感じている部分を書きだしました。

粘土除去が良ければ、農地などでも粘土除去ですべてがうまくいくと考えがちなのですが、そんなに甘くはないような気がしています。その先を、考える上での参考になればと思います。また、HydroWorksさんは、福島県郡山市内のベンチャー企業だそうですが、既に、この手法を取り入れた農地や学校の除染に向けて取り組みの準備をはじめているそうです。先ほど書いたメール紹介します。大橋さんからも実験データの情報を頂きましたが、土壌からの粘土の除去、一定の効果があるようです。


以下私から送った返信

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大橋さん

実は、直感なのですが

土壌の洗浄では、農地の場合

土壌中の粘土分が多く、大橋さんの図にある地層処分の土量がかなり多くなるのでないかと感じ始めております。

学校のグラウンドの土壌は痩せて、砂も多いので粘土、シルト分との分離がよさそうなのですが、肥えた農地の土壌では

①粒度での分画をどう行うか

②分画のうちどの粒度に、放射性物質が吸着されている粘土がより高密度に分布するのかを調べる必要があると考えています。

実験をしてみないとわからないのですが

芝を使ったファイトレメディエーションは、

粘土除去のプレトリートメントとして

A)有機物の多い土壌を痩せさせ、

B)有機物分の土量を多少なりとも減量し

C)植物への放射性セシウムの取り込みでイオン交換可能なセシウムを土壌中から減少させ

D)植生の根張りの厚みを利用して、表面土壌の、マーキングとして活用し、土壌の除去量を最小化すると共に

E)植生被覆により、塵等の再飛散を防止し

F)芝撤去前に水を撒くことで、作業者の埃の吸い込みによる被ばく可能性を低減化

することが期待されます。

農地の土壌では、なんとなく、この程度までの十分な前処理を行っておかなければ、うまくいかないような気がしております。

一瞬、粘土除去だけでも行けるかなと思ったのですが、そんなに甘くはない気がします。

表土の除去厚が10cm5cmでは、非常に大きな量の違いになるので、最終的な地層処分、数十年という長期の影響までを考えると

粘土除去の前処理をたとえ時間と手間がかかっても丁寧に実施していくことでトータルの影響低減・それらを含めた総合的な処理コストは最も小さくなるように思います。

学校土壌や砂場、砂質の多い土壌では、現状のプロセスで、行けるのではないかと思います。

公園等からはぎとられている土つきの芝を砕いて、水中でかき混ぜ

浮いた根や葉を第一段階で分離し

次に、濁水を固液分離し、粘土・シルト分を凝集沈殿させ

修復土壌と、放射性物質を含むバイオマス及び粘土に分離ができることを示せると

現時点において、対処に困っている自治体や教育施設にとって救いの手となると思われます。

可能であれば、このプロセスで、ある程度のチャレンジと予備実験を積み上げておいてから、農地土壌の修復に乗り出せれば良いと思います。

農地土壌の修復に関しては

高濃度の汚染地域

高濃度汚染地域ひと回り大きい境界領域となる地域

2つが土壌修復を必要とする地域となってきます。

高濃度汚染地域に関しては東電、国が補償をすることになるでしょうが

境界領域となる地域では、ひょっとするとそれぞれの農家それぞれの経営判断で処理が実施されることになるのかもしれません。

こういった地域に関しては、一般事業者による除染事業も誕生してくるかもしれません。この場合に関しても、原状修復の義務がある東京電力及び国が農家の申請によってこの費用が賄われるといったフローを作っておくことが重要です。これらについては、今後議論が積み上がって行くことが必要となります。

とりあえず、思いつくのはこんなところです。

島田敏

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