2008-02-11

つくば3Eフォーラム事務局へのメール

つくば3Eフォーラムの3Eカフェに行ってきました。
3Eフォーラムより、よりラフなミーティング
カフェとしてしっかり育つと、ハードな低炭素都市よりもより柔らかく柔軟なディスカッションと活動の場として広がるのではないかと期待しています。


以下は、3Eカフェ翌日のメール



3Eフォーラム事務局御中

昨夜は3Eカフェありがとうございました。

当初、3Eフォーラムの動きがあまり活発でないと心配していましたが、
今回のように、学生主体の取組みが開始され始めたことに、改めて期待と可能性を感じました。

是非、学生の取り組みに押されて、専門家の連携や取組み、地域社会との連携にまで巻き起こせるエネルギーが生まれることを期待しています。

セヴァン・カリス=スズキさんのスピーチを紹介します。

私は、地元で、大工さんや、左官屋さん、石屋さん、建具屋さんなど、様々な職業の友人に温暖化の話をする時に、一緒に、このスピーチを紹介しています。

嘘偽りのない実際のことばなので、私も含め、心に残り、それぞれの人の個人的な取り組みを後押しする力となっています。

3Eフォーラムの皆さんや、学生、多くの研究者の皆さんも、実際に取り組みを始めると、何回も、現実や、地球温暖化の深刻さの実態に打ちのめされるでしょう。仕事に就いている人たちは、自分の現在の仕事と温暖化を防止する取り組みとの間の矛盾に何度も葛藤されるでしょう。
ただ、それらの葛藤を乗り越え、解決法を発見し、その解決法を自分が身に付け、さらにまだ解決法を発見できていない大勢の人たちに広げる無数のの取り組みの結果の総体が実際の低炭素社会の具体像なので、私たちには、これから始まる、大きな仕事をやり遂げる忍耐力と勇気と困難を楽しむ楽観さも同時に必要なのではないかと思います。

そういった意味でも、セヴァン=スズキさんのメッセージは、勇気を与えてくれます。

リオの地球環境サミットでのスピーチですが、日本では、あまりよく紹介されていなかったようです。事実、私は、環境科学研究科出身なのですが、つい一年ほど前に知ったばかりです。

セヴァン=スズキさんは、このスピーチの後、子供代表で、国連憲章の草案づくりなどにも携わりました。学生活動としての環境活動の「Recognition Of Responsibility(ROR)」 (責任の認識)も有名なので、学生の活動の参考になると思います。

また、最近では、チームGOGOという活動にメッセージを送っていますので、そのURLも添付します。

私は、つくばでメタン発酵の研究を始め、博士論文に取組み始め、「なぜメタン発酵なのか?」、「なぜバイオマスなのか?」を、できるだけ誤魔化さずに、最後まで考え切ってみようと取り組み始め、行き着いた先が、現在の地球温暖化、低炭素社会、気候変動の問題でした。

おかげ様で論文の諸言について考えるだけで2年を費やしてしまいました。

しかし、そのことでわかったのは、様々な経済や産業の転換の方向性を見つける手法は、今ある問題点を、途中で誤魔化さずに、割り切れるまで、徹底的に考え抜いてみることで発見できるのではないかということでした。例えば、エコインクと呼ばれるソイインク(大豆由来)でも、問題を考え続けてみると、そのインクを作る原料は、おそらくアマゾンの熱帯林を切り開いた安価な大豆や中国の低コストな大豆に行き当たるはずです。これまでの経済では、ソイインクは、この時点でエコロジーな商品として流通可能ですが、いつでも「本当にエコなの?」という疑問に向き合い続けることで、それでは、そのインクを本当にエコにするために、自分の会社で、国内の遊休農地を使って国産のマイレージの少ない有機の大豆を作ろう!値段は非常に高くなるが、消費者に理由を説明し、少しづつ理解してもらおう!という取組みまでたどり着けるかもしれません。本当は、ものすごい葛藤やジレンマ、反対と戦い続けることでしょうが、そこまで達成できれば、おそらく、そのインクメーカーは、豆腐や醤油を作るようになるかもしれませんし、有機農業を中心としたエネルギー産業に着地するかもしれません。

低炭素経済の本領はここにあるのかもしれません。気候変動を契機に持続可能性と低炭素経済を企業が内部化し、想像もしないとんでもない着地点に到達することが、未来を非常に楽しくさせてくれるかもしれません。

気候変動の影響は、私たちに、防災と比較的大きな地域規模での相互互助システム、備蓄の仕組みを、国内、国外共に必要とします。

低炭素社会については、様々な選択肢を用意することができますが、実際に私たちが掴みとれる未来はたった一つだけなので、できる限り、今後発生する様々な問題のすべてに対して考えうる解決策を盛り込んだ、より完全な低炭素社会の未来像をわたし達は、少なくとも最低一つは用意しなければなりません。たとえ、それを用意しても、大勢の人からなる社会では、それの5割から7割を実現できたら上出来であり、たとえそれを実現するだけでも、私たち、自分たちのありとあらゆる努力を注ぎ込む必要があるでしょう。

温暖化に関する取り組みを始めて、2年まではなりませんが、現在のところは、こんな所を考えています。

今後ともよろしくお願いします。

セヴァン・カリス=スズキ リオ環境サミットのスピーチ
http://www.sloth.gr.jp/relation/kaiin/severn_riospeach.html

チームGOGOへのメッセージhttp://www.teamgogo.net/temp/severn.html