2011-04-11

facebookでの議論

ここ1,2週間程facebook のあるグループ内で
福島第一原子力発電所事故からの放射性降下物(特に放射性セシウム)の
ファイトレメディエーションについての調査と議論をしていました。

この調査と議論でわかってきたことを報告します。

集めた情報に関するリンク集は前の投稿をご覧ください!!

●ファイトレメディエーションについて考えられること(チェルノブリ救援・中部の資料①、資料②土壌肥料学会の資料 等から)

①土壌に降下した放射性セシウムは、水に溶け粘土などの土壌鉱物に吸着されながらゆっくりと浸透する。チェルノブイリでは、放射性セシウムは、降下後数年は土壌表面から5センチ程度までに分布、25年後で表面から20センチ程度までにとどまっているとのこと。土壌肥料学会の資料によると土壌中のCs-137の分布を粘土、シルト、砂に分けて調べた例では、半分以上のCs-137が粘土画分に存在しており、また、土壌への吸着の強さや様式で分けると、K、NH4等の陽イオンと置き換わることができるイオン交換態(置換態とも言う)が10%、有機物との結合態が20%、粘土鉱物等との強固な結合態が70%との報告がある(Tsukadaら, 2008)ということなので、土質にもよるであろうが、ほとんどの放射性セシウムは、降雨などで水に溶けたのち、速やかに土壌に吸着し、その殆どが強固に粘土鉱物等と強固な結合体を形成して比較的浅い土壌表面に停滞し続けているのではないかと想像される。

②池で栽培されたひまわりで20日間で95%吸収されたという報告と一方で、土壌で栽培された植物による放射性セシウムの除去は1%(以下?)程度という一見全く異なる報告もあるようであるが、これは、植物の根からの吸い上げ作用によって放射性のセシウムを比較的早いスピードで吸収できる可能性が存在するということを示唆していると同時に、土壌中における放射性セシウムの動態は、その大半が、有機体や粘土鉱物等との強固な結合体を形成しているため、植物の根から吸収できる条件にある放射性セシウムの量が非常に少ないため、あまり効果的に吸収されていないと考られるのではないだろうか?

③カバークロップとしての可能性・・・・蒸散力やセシウムの同化力の強い植物(例えば雑草のオオイヌタデ、ひまわり(?)など)をカバークロップとして、不耕起で直播き、もしくは粘土団子などで空中から散布し、土壌の表面にできるだけ広範囲繁茂させ、降雨後、まだ、土壌鉱物に吸着されていないイオン体のセシウムを蒸散により、より速やかに植物体内に吸収させることで、初期の除去率を大幅に向上させられないか?ということが考えられる。ただ、雑草であるオオイヌタデを圃場で栽培することには、その後の処理を考えると農家には抵抗があるかもしれない。何年で、生産に問題が生じない基準値以下まで、放射能が低下するのかが予測でき、それが、数年かかるということならば、繁殖力の強い雑草をファイトレメディエーションに利用することは十分検討に値すると考えられる。

④バイオマスエネルギー生産と複合した取組み・・・・・・複合災害からの復興支援と安全な農業生産を行うことができないことに対する補償が可能であることを前提にしているが、農地の放射性降下物からの保全と土壌のファイトレメディエーションによる再生及び地域の農業活動及び集落や農村の持続を同時に実現できる可能性として、カバークロップ+表層土壌の撤去+撤去土壌及び土壌撤去を行わない農地での油脂作物の栽培による燃料生産と残差利用による熱発電混合放射性セシウムの濃縮処分(焼却もしくは湿式処理)という組み合わせは、地域でこれまでの生活並びに一次産業を継続させながら地域が生き残る、もしくは復興するための選択肢の一つとなると思われる。しかし、現状の放射能濃度の中で、十分にこれらの生業活動が営めるのか?また、次世代を担う子供達への影響はないのだろうか?という2つの問題が存在する。地域の中で、比較的早期に表土(10cm程度)の撤去を十分に実施した土壌からの放射線被ばくの殆どない安全地帯を創出し、それらの地域に、部分的に地域内移転を行いながら、徐々に地域内の放射性物質の撤去(除去)作業を時間をかけて行っていくことも考えられる(この可能性については、本当に可能なのか専門家の方の意見を聞きたい)。

つづく


放射性セシウムのファイトレメディエーションに関する情報を集めたリンク集

ナロジチ再生・菜の花プロジェクトを実施しているチェルノブイリ救援・中部の土壌汚染対策に関する現段階の見解
チェルノブイリ救援・中部ナロジチ再生・菜の花プロジェクト関連資料


セシウムの土壌における挙動に関する基礎的知見(土壌肥料学会)
セシウムを取り込みやすい植物
http://www.iseki.co.jp/products/hatasaku/wmv/tabako_bakkon.wmv
植物によるセシウムの取り込み(環境科学技術研究所)
http://www.ies.or.jp/japanese/mini/mini100_pdf/2007-07.pdf
環境科学技術研究所の調査研究の案内、よく濃縮する植物としてオオイヌタデを紹介
http://www.ies.or.jp/japanese/profile/panf/panf1007-03to04.pdf
オオイヌタデ
http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/hana/ooinutade.html
ひまわりによるファイトレメディエーションに関する情報
http://www.ceri.go.jp/contents/news/images/geppouNo646_2007.3_p42-44_re20110323-2.pdf
ひまわりの根の写真
http://www.gakuto.co.jp/junrika/17k05.html

セシウムを取り込みやすい栽培法
カリウム肥料欠乏状態でのファイトレメディエーションに関する情報
http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1001.html

作業機械関係
ひまわり収穫機
http://www.iseki.co.jp/tama/pdf/biomass.pdf
たばこ抜根機
http://www.iseki.co.jp/products/hatasaku/hata-taba.html
たばこ抜根機(ビデオ)
http://www.iseki.co.jp/products/hatasaku/wmv/tabako_bakkon.wmv
ねぎ引抜き機
http://brain.naro.affrc.go.jp/e/News/iam_news37.htm 
わら収集用小型ロールベーラ
http://bokumeta.blogspot.com/2006_09_22_archive.html 
不耕起・直播き栽培の資料
http://www.pref.aichi.jp/nososi/seika/singijutu/singijiyutu74-4-7.pdf

福島でのひまわりによるファイトレメディエーションの民間による活動
http://www.himawari-fukushima.com/